Q.「溶融亜鉛めっき皮膜」の有効性について、他に挙げられることはありますか?
A.一般的には鉄に湿気や雨水などの水分を与えると鉄と水分は酸化という化学反応を起こします(図1参照)。しかし溶融亜鉛めっき被膜では、鉄と亜鉛に「犠牲防食」と呼ばれる関係が存在します。
犠牲防食とは「カルバニ電池」と呼ばれる電池の原理を利用して腐食の進行を抑える技術です。電池ですから極があり、鉄は+極(約-0.6V)で亜鉛は-極(約-1V)になります。また電池ですので、鉄と亜鉛には電位差が生じ、電流が鉄から亜鉛へ流れ、逆に電子は亜鉛から鉄へ流れます。鉄が自らの酸化で消費するはずの電子を亜鉛の電子で補うことになり、鉄は正常な状態を維持することができ、結果的に鉄の腐食を抑えることが出来ます。これを「犠牲防食作用」と呼びます。
この「犠牲防食作用」により、たとえ小さなひっかき傷のようなものが皮膜に存在しても、鉄を保護することが出来ます。溶融亜鉛めっき被膜は、強固で密着性が非常に高い合金層の存在や「犠牲防食作用」により、他に類を見ない強固な耐食性を実現します。
Q.「溶融亜鉛めっき被膜」の耐用年数はどれ位なのでしょうか?
A.溶融亜鉛めっきの耐用年数は非常に長く、めっき厚85μの場合で田園地帯などのクリーンな環境では30年以上、海浜で20年以上、一般の工業地帯でも10年以上耐用するといわれています。めっき膜厚が厚いほど溶融亜鉛めっき被膜の耐用年数は増えます。メンテナンスフリーでコストパフォーマンスが非常に優れた防食方法であるといえます。
Q.塗装皮膜や電気亜鉛めっきなどでは、例えば鋼管内径部位などの手の届かない箇所を皮膜で覆うことは難しいのですが、溶融亜鉛めっき被膜においても同じことが言えるのではないでしょうか?
A.溶融亜鉛めっきの被膜は、鋼管内径部位などの手の届かない場所でも完全に皮膜を形成することが出来ます。ですので、目に見えない箇所や手の届かない箇所も安心して腐食に対応することが出来ます。
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